R5/7/15~17 古町演芸場外部公演『明和義人伝』上演


2023.08.01

株式会社創るつながるプロジェクト(新潟市中央区)主催、日本文化大衆演劇協会が協力した古町演芸場外部公演「明和義人伝」を開催いたしました。地元の歴史を題材に書き下ろしたお芝居に加え、新潟の伝統芸能とのコラボレーションを取り入れた初の試みでした。公演の模様をレポートいたします。

公演名:明和義人伝

開催日時:

2023/7/15(土) 夜の部 17:30開演(開場16:30)

2023/7/16(日) 昼の部 12:00開演(開場11:00)

2023/7/16(日) 夜の部 17:30開演(開場16:30)

2023/7/15(月・祝) 昼の部 12:00開演(開場11:00) ※全4ステージ

会場:新潟県民会館小ホール(座席数300席 ※固定席 260席/移動席 40席)

主催:株式会社創るつながるプロジェクト 協力:日本文化大衆演劇協会

協賛:NSGグループ

後援:新潟市、FM新潟77.5、(株)けんと放送、TeNYテレビ新潟、BSN新潟放送、古町6番町商店街振興組合、古町7番町商店街振興組合、一般社団法人新潟青年会議所、星野電気株式会社、明和義人祭実行委員会

来場者数:約800人 ※3日間(4公演)トータル

新潟県民会館(新潟市中央区)

小ホール(座席数300席 ※固定席 260席/移動席 40席)

■大衆演劇「明和義人伝」 作:渡辺和徳、演出/構成:水廣勇太

大衆演劇公演「明和義人伝」は、1768年(明和5年)に越後国新潟町(現新潟県新潟市)において町民が藩政に抵抗しおよそ2か月にわたる町民自治を行なった「明和騒動」を題材に、脚本家で演出家の渡辺和徳氏が大衆演劇のために書きおろしました。新潟町の商人涌井藤四郎を中心に立ち上がった町民たちの奮闘などを描き、後世の新潟の礎を築いた歴史を大衆演劇によって伝えるものです。

■地元伝統芸能とのコラボレーション

新潟で活躍する伝統芸能アーティスト3組がゲスト出演した他、伝統芸能「万代太鼓」演奏する地元の子ども達中心で構成する団体4組が日替わりで出演しました。

【ゲスト出演】

新潟万代太鼓 華龍

佐藤知(三味線)

一条五郎(歌手)

(新潟万代太鼓 華龍)

佐藤知(三味線)

一条五郎(歌手)

【日替わり出演】

(7/15)万代長嶺 万代太鼓和童

(7/16昼)万代太鼓 青山翔龍会

(7/16夜)新潟万代太鼓若藤会

(7/17)新潟万代太鼓中野山八龍会

新潟万代太鼓中野山八龍会

新潟万代太鼓華龍 代表・田村佑介

———古町演芸場・大衆演劇や地元の伝統芸能とのコラボ公演について

同じ和の芸能といえど、なかなかご一緒する機会も無く、とてもいいことだと思います。大衆演劇との今回のコラボも、非常に面白かったです。

———明和義人という地元の歴史を題材にしたお芝居を行ったことについて

明和義人という歴史があることは知っていたが、今回お芝居で正直初めて細かくわかり、感動する話でした。その話の中に、我々が演奏で使っている樽砧(たるきぬた)が出てきて、なおさら親近感が湧きました。そういう新潟の歴史を、新潟の芸を持ち寄って、オール新潟でやるということはとても面白かった。

———田村さんが指導する地元子ども達中心の万代太鼓団体(4団体)の出演について

ちょうどコロナ禍でなかなか舞台が無いところで、今回のコラボさせていただく機会に至りました。普段から大衆演劇に慣れているお客さんが多くて、お客さんからの拍手がたくさんいただけて、子ども達はいつも以上に力が出ていました。あたたかいお客様の前で子ども達が演奏できたことは、いい経験になったと思います。

佐藤知(三味線)

——大衆演劇のコラボはいかがでしたか?

これだけ連続で公演を行う事はなかなか無い。本番はつい熱が上がってしまい、自分のペースを保つのが大変でした(笑)

——お芝居中の三味線演奏については

初めてでしたが、大変の一言です(笑)生演奏ならではの間の取り方があって、セリフに合わせて音を出せるのはすごくいいのですが、ずっと気を張っていなければいけないんです。舞台中ずっと緊張しっぱなしで、そういったことはなかなかない。いい経験になりました。

——新潟の歴史を題材にした大衆演劇や地元の伝統芸能とのコラボした今回の公演についてどう思いますか

演芸場を知らない方でも、こういう雰囲気なんだと知ってもらういい機会になったと思います。古町演芸場を知ってもらうのもそうですし、いろいろな芸能をやられている方がたくさんいるので、それが今回一同に会したというのは、すごい事だと思います」

——今後のコラボについては

まだまだ私の認知は低いと思っているので、もっと新しいチャレンジを、今回のようにしていきたいと思っています。

一条五郎(歌手)

——新潟県民会館での4公演を終えての感想は?

「役者さん達は大変だったでしょうね(笑)。古町演芸場とは箱の大きさも違うし、満席にするにはなかなか厳しかったでしょうけれど、最終日はたくさん入ってとても盛り上がりましたね」

——新潟の歴史を題材にした大衆演劇や地元の伝統芸能とのコラボについては

「私自身(コラボは)何度もやっているけれど、いい取り組みだと思います。これからもやって行ったらいいんじゃないでしょうか」

■来場者の声

(公演後のお見送りの様子)

40歳代男性・新潟市在住(大衆演劇が好きな妻に誘われて来場)

夫「明和義人祭が毎年行われていることは知っていたが、明和義人の内容は知らず、今回の大衆演劇で初めて知ることができた。もっともっと多くの人に知って欲しい。料金は高いかなと思ったけれど、来てみたらお得な内容だった」

40歳代女性(大衆演劇・古町演芸場のファン)

「章劇がなぜ新潟の話をやってくれたのかを聞きたかった。この公演だけではもったいない内容だった。演劇の中で津軽三味線、万代太鼓をライブでやってくれたことがすごく良かった。古町演芸場の公演では観られない」

66歳男性・石川県金沢市在住(妻が大衆演劇・古町演芸場のファン。今回は誘われて一緒に来県)

「大衆演劇は初めて観て感激した。新潟港の歴史を初めて知り勉強になった。全体的にもお客さんが一体になって盛り上がっていて、楽しめた。来てよかった」

30歳代女性・新潟市在住(古町演芸場の常連)

———古町演芸場初の外部公演について

「初日の公演を見たのですがそれがあまりに感動して、また翌日のチケットを買って2回観ました。私ははじめ県民会館で行うと聞いた時、古町演芸場でやった方が良さが伝わるのではないかと思いました。しかし、県民会館の公演を観て、音響、照明、広いステージで表現の幅が広がっていて、ここでやった意味がわかりました」

———新潟の歴史を題材にしたお芝居「明和義人伝」が演じられたことについて

「よくぞこの新潟の歴史をやってくださった。劇団の団長さん花形さんが自分たちの演目を休んでまでして、新潟の物語をやってくださったことに感謝です。そしてこれまで『明和義人』を知らなかったのですが、あれを観させてもらったことで先人たちに感謝が湧きました。一流の人たちが新潟の事を教えて下さったことは、素晴らしかったです」

■総括(篠原演劇企画 代表・篠原正浩)

新潟市の古町演芸場は、2022年4月に約2年間の休止期間を経て復活。その後、新たな取り組みを多数取り入れて活動してきました。

今回、初の古町演芸場外部公演として催行した「明和義人伝」は、地元に伝わる歴史を題材にした大衆演劇のお芝居、地元伝統芸能アーティストや子どもを中心とした万代太鼓団体とのコラボにより、これまで古町演芸場に足を運んだことが無い人にも大衆演劇をはじめとした伝統芸能に触れていただくこと目的の一つとしました。

「明和義人伝」の歴史と関係が深いNSGグループ(約7,000人が在籍する専門学校グループ運営および約1万2千人が働く企業グループ)の協賛を始め、地元伝統芸能のゲスト出演者と「オール新潟」のステージを作り上げたことは意義深く、かつ、全4公演トータルで800人の集客に至った点は大きな収穫だったと捉えています。

今回の公演を契機とし、地元関係者との結びつきをより強めると共に、大衆演劇の更なる発展に取り組んでまいります。

(撮影・レポート制作 中林憲司)