十人十色。 ――十人いれば十通りの色がある。 人にはそれぞれ違う考えや好みや性格があって、一律ではありません。 それが男と女なら尚のこと複雑に混ざり合うもの。 『はんぶんこ』は、川沿い……
ヤクザ渡世に憧れていた森町村の石松は、喧嘩の最中に清水の次郎長と出会い、その侠気に惚れて子分となる。 それから数年——その腕っぷしの強さと愛嬌で、清水一家の名物男と呼ばれるようになった石松は、次郎長……
一目逢ったその日から恋の花が咲くこともございます。 来花院彩様は京極春愛様と偶然のような必然によってめぐり逢い、それは前世からの繋がりの延長線なのでしょうか。 いつしか互いに想いを寄せるようになっ……
森の石松は身受山鎌太郎に預かった香典を都鳥吉兵衛にせがまれて貸し、金を返せなくなった都鳥三兄弟と保下田久六の子分で次郎長一家に恨みを抱く布橋兼吉らに謀られ闇討ちに遭う……この誰もが知る物語において、ひ……
愛した役者の名披露目のために、大金が必要になった芸者のお梅。自分を愛する箱丁の巳之吉に金を都合してもらうが、その代わりに巳之吉が求めたのは、自分と夫婦になることだった………
美女を助けたら、やくざ殺しの犯人になっていた。 色男の源三郎は、未亡人おしづに一目惚れ。おしづを狙う、やくざたちを追いはらう。しかし一家の親分が殺され、気づいたら源三郎が犯人にされていた……
くぐつの絲 男は妹とふたりで生きてきた。 ふたりはつつましくも穏やかに暮らしていた。 ある日、最愛の妹を何者かに殺される。 身を焼かれるほどの嘆きと絶望、怒りと憎悪に男は復讐の鬼と化す。 男……
江戸最大の娯楽の街・浅草では昔気質の赤西一家、昼行灯な道志一家、そして新興勢力の蛙組による三つ巴の睨み合いが続いている。 それもそのはず縄張り争いだけならばまだしも、この三組の親分は吉原の花魁・珠己……
幼い頃から同じ道場に通う高田新吾と岡崎慶次郎は無二の親友で、お互いに道場主の娘に思いを寄せる恋敵でもあった。 ある日、慶次郎の兄は藩の金を自由にしようとする若年寄の罠にかかり「許して欲しけれ……