R4/12/12 篠原演芸場にて新風PROJECT革新#4を開催
2022年12月12日。大衆演劇の原点に新たな風を吹き込む”ロック“な石松奇譚と銘打った「遠州傾キモノ 森の石松 閻魔堂奇譚」が篠原演芸場で上演されました。この企画は新風プロジェクト革新#4であり、ローソンで先行発売されたチケットが開始7分で売り切れたことも大きな話題を呼びました。
主演は劇団暁の三咲暁人若座長。日本文化大衆演劇協会が推し進める新風プロジェクトに初回から参加し、演出を兼ねることも多かった三咲暁人は脚本家の渡辺和徳とは10月の新風プロジェクト革新#1大衆演劇バージョン「寝盗られ宗介」で意気投合した間柄であり、2人が大衆演劇でおなじみの森の石松を題材にした芝居をどう見せてくれるのか?に注目と期待が集まりました。
さらに大衆演劇ファンを興奮させたのが、宿敵である都鳥三兄弟のキャスティングです。長兄の吉兵衛をいぶし銀のフリー役者・伍代孝雄、次男の常吉を芸達者で知られる舞台役者の恋川純弥、コミカルな末っ子梅吉を桐龍座恋川劇団の二代目恋川純座長がアドリブ全開で演じるという贅沢な配役が実現。ちなみにこの3人と三咲暁人は2022年6月の新風プロジェクト「桜雪」でも共演、そのときは恋川純が主役を演じました。今回、悪役にも関わらず都鳥三兄弟が登場するたびに客席が沸き返る光景はさすがでした。
また、オリジナルキャラクターである現代の浪曲師・虎造に扮したのは大衆演劇出身で幅広く活躍する嘉島典俊。狂言回しであり、その最後を知るがゆえに葛藤しながら石松と会話を交わし、ときに観客の気持ちも代弁するという重用な役どころを熱演しました。そして「寝盗られ宗介」が結んだ縁で、演劇ユニット9PROJECTの小川智之、高野愛も石松の幼なじみである七五郎とお民役で再び大衆演劇の舞台に登場。加えて音楽面からロック石松を盛り上げたのがパフォーマンス集団、破天航路です。今回はリーダーでベース担当のSADA、ギター担当の坂田善也、ドラム担当の遠藤勝彦がライブ感たっぷりに生演奏を披露。また、芸者役で日舞担当の花ノ本以津輝、兼吉役で殺陣担当の小松雅樹も出演しました。破天航路は11月に新潟で行われた「クールジャパンEXPO ㏌ NIGATA」で大衆演劇と初コラボレーションしており、今後もこのような機会が増えるとのことでした。
三咲暁人演じる石松は底抜けの明るさで終始観客の心を掴みます。閻魔堂の前での立ち回りは三咲暁人のたっての希望で殺陣の名手・恋川純弥が担当。スピード、間合い、三人三様の斬られ方。息を呑む名シーンが誕生しました。このように今回の公演は立場やジャンルを超えた様々な役者陣、脚本家、アーティストの集結と協力によって成り立ち、これまでにない石松の物語として拍手喝采を浴びました。これからも新風プロジェクトのチャレンジは続いていきます。